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まにあわせを起点とする発想 “やっつけメーキング”

「やっつけメーキング」田中偉一郎 (著)

それを見てしまったがゆえ、見慣れた日常風景への見方が変わってしまうこと。

それを見てしまったがゆえ、その本来の意味から離れ、全く新たな意味が付与されてしまうこと。

アートに触れる事とは、そういったものだと思いますが、現代美術家田中偉一郎氏の「だれでも分かって、しかも笑えてしまう」事まで成し遂げる在り方は、本当にすごい事だと思っています。

その田中偉一郎氏による「やっつけメーキング」という本を。

太陽、鉛筆、ネコ、星、電車、インスタントラーメン、、、。 日常の生活の中で、毎日当たり前のように目にするそれらの自分のイメージや、意味づけ。

それを「やっつける」という切り口で、清々しくも笑いとともに差し出してくれる「スカッと裏切り本」です。

たとえば、「寒中見舞いをやっつける」

白鳥1羽で5円だから、10羽で50円。

ちょうと葉書1枚が出せる。じゃあ、これで。

という超「間に合わせ」の発想です。

後はこの「シャボン玉をやっつける」も、とても好きです。

「子どものためのシャボン玉」から「大人のためのシャボン玉」という転換。

この妙な間の抜けた空気感が、また何とも言えず心地よいです。

そしてユニークなものが、「スケジュールをやっつける」。

人がやることなんて、大きく分けちゃえば「やるか」「やらないか」。

だから、それで分けちゃえばいい、という本質的な超シンプル発想。

この本質的な意味だけを抽出し、どんっ!とど真ん中から差し出される。

それによって目線ががらっと一変してしまう。

これこそ、アートに触れたときにのカタルシスそのものでないかと思います。

そして、最も自分が好きな内容が、この「毎日をやっつける」。

毎日同じラーメンを食べていても、同じ洋服を着ていても、同じ商店街を歩き、同じ家に帰り、同じ夢を見てもいいのだ。

それらはちょっとずつ変化する、めでたき繰り返しなのだ。

カレンダーは一進法。

毎日毎日おめでとうございます。

真夏日であれ、春先であれ、異常気象であれ、今日一日は、あけましておめでとう的な何かなのだろうね。

一目で、だれにでも、分かること。

それもその後味が楽しい気分、清々しい気分であること。

今ここにある間に合わせのものから新しいものを生み出したり導きだしたりできるのが、なにかをつくる一番の意味であると考えます。

「間に合わせ」の積み重ねが、かっこいい、かわいい、おもしろい、すばらしいものになっていくのだと思います。

無理矢理つくられた実用品ばかりの世の中で、無用だけど必然性のあるものをつくっていこうと思います。

「まにあわせ」から「新しいものを導いていくこと」とは、とても本質的なことでないかと感じます。

間に合わせ気分。少し肩の力が抜け、目線がやわらかになれるおすすめの本です。


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