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「中身化」と「コンフォート」 “中身化する社会”

nakamika

中身化する社会 (星海社新書)

同時進行的に「今起こっていることの変化」。

例えば、

・なぜ、オーガニックな食材を好む人が増えているんだろう?

・なぜ、ファスト、あるいはラグジュアリーなファッションでなく、より品質が高く、丁寧でありながらもカジュアルなファッションの方へ関心が高まっているのだろう?

・なぜ、ものづくりへの関心が高まっているんだろう?

・なぜ、広告には嘘くさしか感じられなくなり、なぜリアリティや物語の方が好まれるようになったのだろう?

こういった変化の点の数々。

それらを「中身化=透明化」というキーワードと、「評判」という新たな価値尺度で「線」で結びながら、

・これからの、人とモノとの関わり方

・これからの、人と仕事との関わり方

・これからの、人の人との関わり方

つまりは、生き方そのものについてのヒントが示された本です。




特に前半部分の、「食」「ファッション」「モノづくり」「メディア」の「今」を「中身化=透明化」というテーマで切り取り、つむぐ、その網羅的な領域への目線。

「編集」が持つ醍醐味が感じられ、頭の中でひも解かれ整理されていく心地よさとでも言いましょうか。

こういった「今のカルチャー」を軸とした編集目線的な社会解釈(それもスッと違和感なく入ってくる解釈)というのは、出会えそうでなかなか出会えなかったりします。

(メディア論ならメディアのみ、ファッションならファッション論のみ、というのような事です)。

後は「本」という少し「今」と時間差のある媒体においてどうしても出てしまいがちな「ズレ感」が感じられないという点も、この本の特徴と思います。

雑誌と本との中間にある「新書」という媒体に、ピタッと内容が収まっている感がとてもあります。




ちなみにですが、この本の中で、自分の中で最も引っかかったキーワードが「コンフォート」というワード。

生産と流通の過程が「透明化」された、オーガニックな食材で、丁寧に作られ、肩ひじの張らない居心地のよい空間。

そんな空間で提供される料理=「コンフォート・フード」に、今ニューヨークでは関心が高まっている。

そんな文脈で用いられるワードなのですが、 低価格指向的でもなく、イメージ先行的でもない。

作り手の愛情とそこにある物語を「大切にし、慈しむ」ための消費姿勢という事だとも思います。

昔から教わり続けてきた「良いものを、長く大切に使っていく」というシンプルな生活姿勢の回復。

あるいは「人と人、人とモノとに良い関係が生まれたとき、人は本当の意味で心地よさを感じる」のような、普遍的な心地よさへの再確認。

「コンフォート」という形容には、「物語の必要性」や「中身化」だけでは補えない、この本における後半部で語られる「いかに生きるか?」に通ずる大きなヒントがあるように感じられました。




この本は、様々な今のカルチャーが網羅視点で切り取られ解説されており、そこが面白さなのですが、「理解する」というより、それぞれで「感じて、考える」ための本と思います。

一つだけ引用をするならば、こういう事なのでないか、と。

今は、基本に立ち戻って、人生をシンプルにするべきとき。

物事のコアを探るべきときだと思う。

今読んでこそ意味があると思う、おすすめの本です。


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