Book
Leave a comment

地図を傾けることと、新しさとは何かについて。 “網野善彦「歴史を考えるヒント」”

唐突ではありますが、ここに日本地図があります。
とても見慣れた、見慣れすぎた島国としての日本列島と、その隣に位置する中国大陸の光景です。



map_fig01
日本とは、四方が海で囲まれた「孤立した島国」である。
大なり小なり、僕ら日本人には大抵こんな認識の刷り込みがあるんじゃないかと思います。
さらに言ってしまうとこの地図の見方、あまりに見慣れすぎてしまったため、もはや違う目線を持ち込もうとする想像力すら及ばない、と言うことも出来るかもしれません。

で、これまた唐突ですが、ここから本題を。
この地図を「日本列島を中心」として見るのでなく、視点を「中国大陸からの目線」に変え、南北に逆転させたらどうなるか?というのが今回のテーマです。

map_fig02
まず、日本海が「海」と言うより「湖」に見えてきますよね。
そして、同時に際立ってくるのが、対馬と朝鮮半島の間の狭さと、サハリンと北海道の間の海峡の狭さ。
実際、サハリンから北海道へは、流水に乗って動物が渡って来るそうです。それくらいに近い。


つまり、日本地図を反時計回りに90度回転させただけで、「日本は決して孤立した島国ではなかった」という見え方が出来るという事です。
さらに言えば、こういう見方も出来るかもしれません。
日本列島とは「孤立した島国」ではなく、アジア大陸の南と北とを結ぶ「架け橋」のような存在である、と。

map_fig03
実際、この「架け橋」を渡り、北からも南からも、人やモノ・文化が流れ入り、出て、日本列島内は循環されていたのでしょう。
日本における東側と西側での文化の異なりは、このような地理的出入りの違いに起因していたのではないか?
そう捉え始めると、文化やルーツの捉え方には、奥深い面白さが多く眠っている事に気づくと思います。


さて既知の方にとっては今更ながらですが、この見方のネタは、網野善彦著「歴史を考えるヒント」で提示されているものです。

歴史を考えるヒント (新潮文庫)
網野 善彦
新潮社 (2012-08-27)
売り上げランキング: 8,065

人は全く見たことのない表現に出会った時よりも、普段見慣れたものに新たな見方が結びついた時、強く驚き、価値観が揺さぶられる傾向にあります。

少し言い方を変えると、クリエイションとは、ある見慣れた物事に対し、違った風に、違った立場で考えること。
その高低差が強ければ強いほど、高い創造性がそこにはある、とも言えます。


この例の中で言えば、2つ、高い創造性を獲得するためのヒントがあるんじゃないかと思います。

1)目線を変えること
日本地図の見方を、日本列島を中心とした見方から、中国大陸から見た場合の目線に変えたこと

2)表現を変えること
目線を変えた結果、それまでの「島国」という形容から「架け橋」という形容に変えたこと

この2つの行為によって、日本歴史観への広がりが一気に変わった=日本歴史観へ新しさをもたらした、と言えるのでないかと思います。


しかし凄い地図目線です。
目線を相対化することで、何が得られるか?
新しさとは何か?
それを、スタディとして日本史観的に置き換えてみると、例えばこんな感じかもです。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です