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血で表現されたグラフィックの真意。原爆と70年を記す手段とは “It’s All Our Blood”

今年は、1945年、広島と長崎に原爆が投下されてから70年が経つ節目としての年です。
昨日8月9日は長崎、そして先日8月6日の広島。
犠牲者は広島と長崎、合わせて約60万人とも言われています。

人にはそれぞれ、忘れてはいけない類の過去の出来事というのが、一つ二つは必ずあるかと思います。
そういった過去の出来事を集約する中で、いわば全人類必須レベルで共有し、覚えておかなければならない類の、最大級の出来事であり過ち。
それがこの原爆投下という歴史なのでないでしょうか。


この忘れてはならない歴史を、グラフィックでは、どのような表現で伝達できるのか?
少し言い換えると、どのような表現方法が、最もそれを見る人々に、痛みを共有させ、記憶に残させ、他者へ伝達を促す効果が得られるか?
その回答の一つが、デザインファーム「Pentagram」による先日発表されたグラフィック作品「It’s All Our Blood」です。

It's All Our Blood
「It’s All Our Blood」というタイトル通り、「原爆とは、我々人類が流した血の事である」というのが、ここでの問題意識です。
その問題意識を共有するため、表現としてデザイナー自身の血液を用い、キノコ雲で表すという手段が取られています。


その制作プロセスが収められた映像がこちら。
水を張った水槽にデザイナーの血液を垂らし、その模様をカメラで捉え、それをキノコ雲になぞらえる、という表現方法です。

It's All Our Blood from Pentagram on Vimeo.


グラフィック、タイトル、「Hiroshima, Nagasaki」のキーワード。
その制作プロセスを知らずとも、真意が伝わる最小限の構成になっていると思います。


例えば、表現の自由と、特定秘密保護法の成立。
例えば、憲法9条の解釈を変え、武力行使の幅を変えようとする安全保障関連法案。
そして、法案に否定的なマスコミへ「懲らしめる」と発言する議員や、「戦争に行きたくない」若者は「利己的」とまで発言する議員たちの存在。
そして、まもなく再稼働される川内原発について。

戦後70年の節目において、日本国憲法が持っていた平和主義は、目立たぬよう、少しずつ、でも確実に、じわりじわりと侵され、変容され、むしろ間逆な方向へと国内においては向かいつつあります。


偏った狭い目線から一歩引き、正気を取り戻すには、より大きな共同体の目線や認識へ目を向けるのが効果的です。

私たちにとって、海外のデザイナーからこのような視点で提案がなされているという事実を知ることは、目線に正常化を取り戻す手段としても意義を持っている、と言い変えられるかもしれません。


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