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feature vol.1「繰り返す」 “日常行為の遠近法”

しきる、重ねる、繰り返す、置き換える、逆転する、唄う、読む、つなげる、記号化する…。

アート/デザイン、映像/インタラクティブ。

領域は問わず、様々な世の中の表現に対して「ある日常的な行為」を補助線とすることで、さまざまな「点」が「線」で結ばれるような試みを、月一回記事上で行ってみます。

普遍的行為の視点から、表現を切り取る事で見えてくるかもしれない傾向。

第一回目は「繰り返す」ことを補助線にしてみます。




1. 繰り返しの「規則的機構」が持つ心情変化

DNP Idea Factory

オートマティックな繰り返し運動。

繰り返す事の中にある規則性・アルゴリズムによる、機構運動の連想。

そこには、オートマティックでありながらも、なぜかある種の懸命さやけなげさが、そこはかとなく漂います。




2. 繰り返しの「パターン化」による増殖現象

Cornelius – Eyes

繰り返す事をパターン化して表現した場合、そこには繰り返しの強迫恐怖とでもいうべき、永久増幅が引き起こされます。

そこへ音楽が加わったときの、記憶への刻まれ方。

記号またはオブジェの記憶実験としての繰り返し表現。




3. 繰り返しの「微細な変化」がやがて「大きな差異」を引き起こす

The xx – Islands

人の行う行為、自然によって引き起こされる行為には、同じように見えて決して全く同じ繰り返し行為は存在しない。

たとえばバタフライ効果を、表現として引き起こすなら?

間違い探しにも似たループ構造がもたらす、注意の持続性とめまい。




4. 「繰り返しでない」繰り返し

livetune adding 中島 愛「Transfer」Music Video

一連動作のループ表現。

が、その背景が異なる文脈で置き換わった時、ループはループでなくなります。

文脈が、人の認識へ与える影響度。その視覚実験。




5. 繰り返し × ランダム が起こす「音楽」化

YCAM「大友良英 / ENSEMBLES」展「quartets」

要素同士の繰り返しをランダムに発生させる場合、それは繰り返しではなくなります。

ランダムが掛け算される事で生まれでる、偶然的な音楽と光景の瞬間。




6. 「繰り返しの小宇宙」GIFアニメーション

From Me To You

固定された画像の中で永久に繰り返す、GIFアニメーションの閉じた小宇宙。

そこには「変わらぬものを観察しつづけたい」人間の欲求が潜んでいるかのよう。

コーネルの箱を連想させる、時の静止。




7. 「ループ」が引き起こす「主従」の入れ替え

栗コーダーカルテット “おじいさんの11ヶ月”

ループする映像の視点を、それぞれの視点ごとに切り替える。

その分解過程で起こる、主従の入れ替え。

結果としての主体の喪失、あるいは全員主人公化。


8. 繰り返しの「広告装置化」

UNIQLOCK

繰り返しの行為がもつ、中毒性とめまい。

その最も洗練され完成されたフォーマットとしての、広告装置化。

人にとって普遍的に気持ちの良いもの × ユーティリティ × 広告という発明。




9. 日常は繰り返しであり、繰り返しでない

HONDA MOTOR “CONNECTING LIFELINES”

アルゴリズムは繰り返す。しかし人の日常は変化する。

繰り返す仕組みは普遍であっても、そこで営まれる人の日常生活は変わり続けて行く。

データに血が通う瞬間。そこに変化する日常がある事への実感。




「繰り返す」ことは、一見オートマティックな印象、退屈な印象を人へ与えます。

でも、時に愛らしく感じたり、強迫を感じたり、変化が引き起こされたり、別の新たな何かが生まれたり、ドラマが見えたり。

そこには、実に生き生きとした印象を与える何かが潜む事も、同じように分かります。

「繰り返し行うことが、人間の本質」とは、アリストテレスの言葉。

人間的でないように見えて、最も人間的なこと、が「繰り返す」行為とも言えます。


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