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Present POST “Books” of the Year 2012

ofTheYear2012

今年も沢山の良い本、刺激的な本と出会う事が出来ました。

という事で、Present POST版2012年ベスト10をまとめてみようかと思います。

あくまで2012年に読んだ本という事で、2012年刊でないものもありますが、そこはご容赦を。

それでは早速。




10位「An Eames Primer イームズ入門ーチャールズ&レイ・イームズのデザイン原風景」デミトリオス イームズ (著)

入門とありますが、この本は各プロダクトや作品への解説書という意味でなく、著者も伝えているように、チャールズ&レイ・イームズの人生やプロジェクト、テーマについてを、スケッチのようにまとめられた、チャールズ&レイ・イームズそのものへの入門書という方が正しいでしょう。

特に、作る事、考える事、試す事、つまりはデザインする事に対するチャールズ&レイ・イームズの哲学。

それが彼らの言葉、周囲の言葉によって、ヒントのようにあらゆる箇所にちりばめられています。

膨大な観察、膨大なトライ&エラー、徹底的な自前主義と完璧主義。

「30年のひらめき」という言葉に凝縮されているように、一つのプロジェクトでそのテーマが終えるのでなく、アウトプットを変えながらも、そのテーマに対し、対面しつづけ、解釈しつづけ、高められ、削られて行く、そのプロセス。

その積み重ねによって到達できる、ある普遍性のような領域に少しだけ触れられる、気づく事ができる本だと思います。

もちろん膨大な写真が掲載されているので、パラパラ後でめくるだけでも、なにより刺激的。

解説書などよりも、はるかに入門書としてふさわしい、本質的な入門書だと思います。




9位「子どもたちの100の言葉」レッジョ・チルドレン (著)

昨年ワタリウム美術館で行われた「驚くべき学びの世界展」で受けたショックも含め、去年の「Book of the Year 2011」では、1位に挙げさせていただいた「驚くべき学びの世界 〜レッジョ・エミリアの幼児教育〜」。

その以前である2001年に開催された「子どもたちの100の言葉」展におけるカタログの日本語版にあたる本です。

「世界で最も前衛的な学校」と、ニューズウィーク誌から評された、レッジョ・エミリアのディアナ幼児学校。

その本質は、冒頭の「でも、100はある。」というタイトルの詩に全てが表されていると思います。

簡単にだけお伝えすると、

子どもには100通りの、言葉、手、考え方、遊び言葉、発明、夢がある。

でも学校や文化が99は奪ってしまっている。

遊びと仕事は一緒にできない。現実と空想は一緒にできない。

科学と想像は一緒にできない。

そう大人たちは教えてしまっている。

でも、子どもたちは言う、100はあるんだよ、と。

そういった詩です。

これは「驚くべき学びの世界展」でも言える事なのですが、子どもの目線にとてもドキッとするのです。

その枠のなさ、自由さ、自然さに。

大人から見ると、それはうらやましいとしか言えない程の発想の伸びやかさで。

教育でなくファシリテーションということ。

それによって生まれでる子どもたちからの自然なアウトプットに、はっとする気づきに誠実に耳を傾けること。

それによって互いに学び合える機会が、実は多くあること。

この本を通じると、そんな事に気づくことができるのでないかと思います。




8位「柳宗理 エッセイ」柳 宗理 (著)

これはもっと早く読むべきだったと思う本です。

「デザイナーが果たすべき役割とは何か?」

その本質的な定義が、これほどまでに明確に提示された本は少ないと思います。

デザインの至上目的は、人類の用途の為にということである。

デザインの創造とは、表面上のアピアランスの変化ではない。 創意工夫をもって内部機構を改革することである。

デザインの形態美は、表面上のお化粧づくりからだけでは出て来ない。 内部から滲み出たものである。

本当の美は生まれるもので、つくり出すものではない。

背筋が正しくなる、ある種の美しさを持った、丁寧で、これ以上ない程の誠実な本です。




7位「はじめての編集」菅付雅信 (著)

「編集」という行為に対し、ここまで要素が分解され、解説され、でも誰にでも読みやすく、学べ、気づきが多く得られる本は数少ないと思います。

編集する、企画を考える、デザインする、、、

そういった枠組みを越えて、「何かを考える、何かを作る」という行為に対し、寄り添って支援してくれる、一つのクラシック本である、という気がします。

知と経験の凝縮。

本の存在意義の一つはこの点であり、自分たちが本を読む理由の一つもこの点であるかと思いますが、その意味でピタリと当てはまる超良書だと思います。




6位「共生のデザイン 禅の発想が表現をひらく」枡野俊明 (著)

自然を支配するのではなく、共生(ともいき)する、という価値観。

長らく無意識レベルで眠っていた類いの美意識や、記憶、光景が、呼び戻されるような感覚。

でも、この本は単なる過去の価値観への回帰ではなく、現代的な価値観や時代に即した価値観でそれが呼び戻される、という点に最も体験としての貴重さがある、と思います。

とても大雑把に言ってしまうと、デザインという切り口でその価値観との接点が見いだされている点がそれなのだと思いますが、ポイントは「共生(ともいき)」というキーワード。

その現代におけるさまざまなテーマとの一致性と、デザインという必要性との一致なのだと思います。

今出されるべき本であり、今これから先に向けて読むべき本。

そういった本なのだと思います。




5位「まばたきとはばたき」鈴木康広 (著)

どうして同じ大人なのに、こんな目線を持っていられるんだろう?と思う疑問と、羨望。

そして目線の回復。

世界への驚き、きらめき、小さな自分だけの発見。

子どもの頃のあの目線に満ちたイメージが、こんな刺激的で素敵な届けられ方をすること。

もうそれだけで、何かうれしくなります。

パラパラとめくるだけで、世界への目線が少しだけでも取り戻す事ができる。

そんな気分にさせられる、貴重な思考のスケッチです。




4位「真夜中のパーティー」フィリパ・ピアス (著)

子どもの頃、体験の内容は違えど、だれもが経験したような。

小さいけれど不思議で、なかなか記憶からは完全に消えうる事のできない類いの出来事や秘密。

一見、なんでもないと思える類いの、子ども時代におきる小さな冒険短編集。

もう自分には、こんな驚きやわくわくを持って日常を生きる事は出来ないんだ、という少し切ない気分にもなりながらも、でも子どもたちの一員に加わって、世界を眺めることに加わらせてもらっているかのような。

エピソードはそれぞれ自分たちの体験とは当てはまらないかもしれませんが、読むと、必ず子どもの頃の、あの世界へのわくわく感や不安、秘密を思い出す事が出来る、キラキラとした本です。

そして何より、この子どもの目線を著者である大人がここまで鮮明に切り取り、差し出す事の出来るその感受性に驚くと同時に感動するのでないかと思います。

宮崎駿氏が「これこそが文学である」と形容する事がとても理解できる、児童書でありながら、大人こそが読むべきと思う素晴らしい本です。




3位「ベロシティ思考」アジャズ・アーメッド (著), ステファン・オランダー (著)

この本は、明らかに今年の最重要本であり、読むべき本と言ってよいでしょう。

「どう生活者や社会と、企業とが関わり合っていくべきなのか?」というテーマについて、ここまで多くの本質的なヒントをもたらしてくれる本はないと思います。

この本は必読、としかもはや言う事ができない、このやるせなさ。

それほど鮮明に提示され尽くしている本だと思います。

未来とは

「マス広告」ではなく「ソフトウェア」

「メディア」ではなく「プロダクト」

「ブランドの物語」ではなく「ブランドの行動」

「キャンペーン」ではなく「プログラム」

「360」ではなく「365」




2位「アライバル」「遠い町から来た話」ショーン・タン (著)

今年になって初めて読んだ本だったのですが、こんなに新鮮で、見た事のない世界でありながら、ここまで普遍的な本に出会える事はそうある事でないと思います。

もの凄く大切なことに出会って、何度でも開きたくなる。

もう出会う前の自分には戻りたくないとすら思う。

人の心と想像力へ、こんなに繊細で、正直で、強く触れる絵本は他に知らないと、言いたくなる程の、これから生きて行くうえでも大切な絵本です。

もしまだ読んだ事の無い方には、何の前情報もなしに、新鮮な目線の状態で触れる事をおすすめします。




1位「計画と無計画のあいだ—「自由が丘のほがらかな出版社」の話」三島邦弘 (著)

今を生き、働き、悩むからこそ、ページを捲る手が全く止まらず、一気に、そして熱くなりながら今年何度も読み返した本です。

世界の流れに乗り遅れるという発想そのものから一度離れないことには、

個人と世界とのつながりも回復しないのではないか。

新しいルールに乗らないことには、本当に生きていけないのだろうか?

一度、原点に帰ってみる、という選択肢はダメなのだろうか。

「原点へ帰る」こと。 「では自分の原点とは何か?」を読み手それぞれにも問いかけること。

その中で、著者なりの原点に対して、ひたすらに正直に、真面目に、愛情と情熱を注ぐこと。

その愚直さの繰り返しだけが到達する事のできる、ある地平。

何度も読んでは勇気づけられ、自分を顧み、地に足を付けながら前に進んで行こうとまた思う本です。




と、絵本あり、ビジネス書?あり、児童書あり、とバラバラとしたセレクトでしたが、今年出会った素晴らしい本を選んでみました。

本との出会いは、人との出会いにも似て、ふいっとやってくるようでいて、実は必然性があったりすると思います。

自分が求めている事へ素直であれば、自然と一致してくる。

一致しない場合には、何かに素直になれていないの証拠なのだと思います。

1年をまとめて振り返ってみると、やっぱりそういった自然な事に気づいてくるものですね。

来年の良い出会いを楽しみにしつつ。


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