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Present POST “Interactives” of the Year 2012

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Present POST版の2012年「Interactive」のベスト10。

と言いながらも、インタラクティブには、プロダクトの要素もあり、サービスの要素もあり、もちろんコミュニケーションの要素もあり、と単体領域で語る事自体が難しい、というのが、現在でもあるかと思います。

が、その中で共通テーマとして中心で語られやすいのが、やはり「テクノロジー」という側面と思います。

そこで、Present POST版ランキングでは、「テクノロジーの解釈の在り方、可能性の在り方」という点で、絞ってみました。

あと、もう一つの評価軸は、「ふつうさ」「未来のふつうさ」という地平です。

え?この作品?とか、あの作品はないの?いうものもかなりあるかと思いますが、限定的な層に大きく評価された作品の類いよりも、より「ふつうさ」に「テクノロジー」が掛け合わさった時の地平を、ここでは考えたいという表れと思って頂ければ。

あるいはこの領域だけは、順位の体裁は取りながらも、「テーマ別リスト」という見方で受取って頂く方が適切なのかもしれません。

さて、それでは早速。




10位 “Clear for iOS”

ユーザインターフェースが向かう先は、いくつかの大きな軸がありますが、その中の一つに「よりやわらかな、アナログな」指向を目指す、という軸があると思います。

いわば「やわらかインターフェース」とでも言いましょうか。

よりアナログなもの、リアルなもの、にインスピレーションを得た着想のユーザーインターフェース、という地平です。

これは、アップルに見られる「リアルをより模倣する」という方向性とは違うものだと思っています。

それが最も顕著に示されたプロダクトが「Clear」ではないか、と思います。




9位 “A sandstone block built from lego, blending real objects with 3d prints”


10位の話を展開するなら、この3Dプリンターを使ったプロジェクトは「リアルな場そのものからインスピレーションを得て、そこに関与する」という、これまでになかった関与軸を持ったもの、と思います。

同じく10位に呼応するなら、「やわらかリアルハッキング」とでも言いましょうか。

ハードな方向性でデジタルがリアルへ関与するのでなく、やわらかな着想でデジタルからリアルへ関与していく。

これは、3Dプリンターが可能にした、去年までにはあまり見る事ができなかった類いの方向軸と思います。


8位 “Coldplay – Xyloband”

「シンク」(同期)によって、より強い体験をその場に作る、というのも、大きな地平をもつテーマと思います。

テクノロジーにより、ネットで複数回閲覧できる動画では体験できないレベルにまで、その体験を強いものにしていくこと。

この、Coldplayのライブ会場で配布されるリストバンド「Xylobands」は、ライトアップと音楽とがシンクすることで、「その場」そのものへ異様な一体感を作り出す装置となりえていると思います。

体験の再現性をより困難なものにしていくこと。

その後のネット映像を通じて、うらやむような体験を作り出す事。

複製、複数再生が前提である今、この方向軸を強く意識する事も、前提事項であるのが現在なのでしょう。


7位 “One Memento”

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このカメラアプリも、8位の内容と呼応するものだと思います。

「何度でも撮れる事」が当たり前であり、優位性を持つのが、デジタルカメラ。

それに対し、逆に「一枚しか取れない」という真逆の制約をもうけることで、人の想像力・創造力に対してインスピレーションを与える、という考え方です。

「一度しか」という制約を設けた、この壮大な「実験」と言ってよいプロジェクトには、何かデジタルと人との付き合い方、人の想像力へのデジタルならではのポジティブな関わり方、という未来をとても感じます。

そして、そこには広い地平を持ったヒントが隠されているようにも思えるのです。


6位 “Inspiration day by kotex”

Pinterestを使用したキャンペーンというのは、今年多く見られたと思います。

が、ここで行われたのは、使用するプラットフォームはトレンドなれど、超ダイレクトな、超手作りの、手渡しマーケティング。

つまり、Pinterestユーザーを選び、彼女たちのPinする内容を観察しながら、一人一人へハンドクラフトのプレゼントを作り、Pinし、もし気に入ってくれたら(=Repinしてくれたら)、プレゼントを送る、というものです。

より高度化されたデータマイニングにより、マーケティングはより高精度なものへと、進化していく。

それはその通りでありますが、同時に受け手である我々も同様に、広告に対するチェックリテラシーが上がっている事も、一方の事実と思います。

レコメンドデータの精度を上げ続けることが、デジタルマーケティングの未来の主となるのか?

そして一方で存在する「人は、相手が自分の事を真剣に考えてくれているとき、喜びを感じる」という普遍性。

さらに「人を想い、人に寄り添う事が、マーケティングの本質でもある」という原点回帰。

「寄り添いデジタルマーケティング」とでも形容したくなる、今だからこそ、その意義について多くを示唆するキャンペーンでないかと思います。




5位 Nike Basketball “TheFilmRoom”

自分のスタープレイヤーを真似た真剣なプレイをモーション・キャプチャによってトレースし、「彼だけの」ポスターが作られ、プレゼントされる、という企画です。

自分があこがれるスタープレイヤー。

そのあこがれは、まず「そのプレイスタイルを真似する」事で、リスペクトが表れる、という万国共通の普遍性。

この超普遍性と、デジタルでしか出来ない「自分だけの」というマッチングは、体験とデジタルとが、グローバル企業が提示するキャンペーンの中で、今年最も幸せに帰結された企画だと思っています。

それは「宝物」になり、部屋の壁に飾られ、誇りにも思え、それを見る事で自分の練習さえも、きっと鼓舞されていく。

ブランドのビジョンと、子どもたちの気持ち、それを結ぶテクノロジー。

広告であり、広告でない。

人と企業との理想的な結びつきを担う役割を果たしているのではないでしょうか。




4位 “Amazon Election Heat Map 2012”

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これは、自分の超個人的な話なのですが、今年最も絶望的な気分になった出来事とは、衆院選の結果でした。

「圧勝」という事実と、そしてなにより「戦後最低の投票率」という事実。

かすかに自分の中では持っていた、未来へのポジティブな可能性。

政治への、日本の未来への関心度へ寄せていた、ポジティブな意識変容への可能性。

それがいかに限られた圏内からの幻想だったのか、という気づきは、今でも上手く言葉で形容できない絶望的な気分を覆っています。

2012年アメリカ大統領選挙で行われた、Amazon.comによる「Amazon Election Heat Map 2012」。

「Amazon.comの、直近30日間の政治関連書籍の販売結果により、今「赤」と「青」どちらが優勢か?をビジュアライズする」というプロジェクトですが、「本の売れ方で、選挙を予測する」というそのアプローチ。

アメリカと日本を単純比較したい訳ではないのですが、一方では、一ECモールレベルで、そのような企画が行われている、ということに、政治に対し、よりカジュアルで企画性を持った「何か」が今は必要なのだろうという事に気づかされます。




3位 “Arnaud Mercier Retrospective 1999-2011″

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Arnaud Mercier Retrospective 1999–2011

elixirstudio、AREA17、good magazine。 Webデザインにおいて、影響を受けざるを得ない流れを作り出したArnaud Mercier氏。

2011年に亡くなられた氏の作品を「オンライン回顧展」としてまとめられた、コレクションサイトです。

膨大な過去のプロジェクトの詳細を眺めているだけで、あっもうこんな時間、、を繰り返す程の充実したコレクションなのですが、「Webデザイナーであるからこそ、Webの場でエキシビジョンが行われる事」の必然性であり、リスペクトであり、その自然さという点。

その「魂の入れ所、置き所」に、何かメディアとメッセージとが合致したときの感動のようなものを、強く覚えました。

少し例えは分かりにくいかもしれませんが、「ブログパーツ」と「時計」とが組合わさった時に感動を覚えた、「Uniqlock」のような、メディアの合致感です。

このメディアとメッセージとが奇跡的に合致したときに引き起こされる感情というのは、覚えておいた方が良い重要なものである気がしています。




2位 “New York Times – Olympics”

NY times における、デジタルへの試み。

特にデータビジュアライズコンテンツの秀逸さ、は今年圧倒的だったと思います。

このオリンピックシリーズのものも然り、またはオバマ、ロムニー両候補の演説時の「ジェスチャー」コンテンツも然り。

What Romney and Obama’s Body Language Says to Voters

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「ニュース」という、NY times が持つ価値。

その価値を、オンライン誌においては、どう最大化するか?すべきか?

デジタルであるからこそ価値を作り、増幅を生み、理解がより促進される、とても本質的な活動であると思います。

そしてもちろんそのクオリティの高さにおいても。

自覚的な模倣を困難にさせるアプローチが引き起こす、ブランドという存在。

強い、と思います。




1位 “100 Riffs (A Brief History of Rock N’ Roll)”

シカゴの「Chicago Music Exchange」という名のヴィンテージ・ギター専門店。

そのデジタルマーケティングの、超手弁当的なる秀逸さ、に今年は1位を選びました。

その最も有名な試みが、ロックの歴史を、ノンストップのワンテイク、100のギター・リフで、店員が弾きまくるこの映像です。

ギター専門店として、本質的でありながら、誰にでも分かるシンプルさ、最後まで一気に見てしまう楽しさ、そして何よりロックへの、ギターへの溢れんばかりの愛情。

最高のプロモーション映像であり、マーケティング施策であると思います。

また、スタッフページの、自然なキャラ立ち感。 テンションと愛にまみれたブログ

一つ一つに新規性は薄いかもしれませんが、何よりこの「自分たちが売るものへの愛を余すところなく伝える」という事。

いかにテクノロジーが進化しようとも、究極的には最も重要な、そして前提である事を端的に示している、バック・トゥ・ザ・ベーシック精神溢れるお店であると思います。




そんなオチか〜感は否めないかもしれませんが、1位の”100 Riffs”で示された、行き着く先にやっぱり帰ってくるべきところ体験の方が、自分にとってはむしろ貴重なものである、と思っています。

という事で、以上2012年版「Interactive」のベスト10でした。


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