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「映像に、耳を澄ます」という稀少体験 “Víctor Erice – Lifeline”

Víctor Erice

「映像を観る」のではなく、「映像に耳を澄ます」という体験。

特にネットで映像を閲覧する場合には、視覚に焦点が集められる傾向があります。

様々なコンテンツをブラウジングされるなかでは、より強い吸引力、より新鮮な表現力を持った視覚表現が求められがち、という一般傾向です。




が、映画「10ミニッツ・オールダー」に収められた、このビクトル・エリセの小作品「ライフライン」。

10分間の、密かな不安と日常生活の光景、そしてその経過。

言葉だけで起こせばなんとも単調な映像に見えますが、それが、なぜこんなにも鑑賞にある種の心地よさをもたらすのか。

時を刻む柱時計のカチコチという音

小麦粉をもむ、ザッザッという音

金鎚で鎌をたたく、カンカンという音

鎌で草を刈る、シュッシュッという音

靴を、サッサッとみがく音




単調に見える日常生活の光景の中にある、生活のリズム。

つまりは「音」が映像をつないでいる、という様。

それがこの映像の特徴でしょう。

いわば「生活そのものに耳を澄ますこと」という、強い映像体験。

これは、映画というフォーマットでの接し方よりも、むしろ大量の情報がストックされたネットにおける、映像閲覧体験の中でそれに触れる事の方が、より強くその価値が感じられる気がします。

本来とは異なる触れ方で接する事で、その映像の本質的な価値がより鮮明に浮かび上がる。

そういった事に気づく類いの映像作品だとも思います。


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