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周縁のキーワードで振り返る2013年 – Part2 “RESENT Post Rewind 2013 – Part2”

Part1に引き続き、トピックワードを周縁からランダムに取り出し2013年を振り返る、エントリーのPart2を。
Part1はこちらから

6. オープンデザイン、オープンデータ
「モノのインターネット化」や「オムニチャネル」というテーマをもう少し突っ込むと、「よりユーザに使ってもらうために、むしろデータは外部に開放してしまおう。それによって、あらゆるチャネル上でよりサービスを活性化させ、シェアを確保していこう」という考え方も出てくるんじゃないか、と思います。
Web2.0時代からの流れで言えば、最も分かりやすいのは、facebookやGoogleなどによるAPI公開ですよね。

で、オープンデザイン、オープンデータというワードも、今年よく聞いたキーワードの一つと思います。

オープンデザインについては、過去のエントリーで書籍「オープンデザイン」の解説などを簡単にしていますので、そちらもご覧頂きつつ、いくつか思い浮かぶ今年のケースなどを。

「ARCHITECTURE FOR DOGS 犬のための建築展」

国内外の建築家・デザイナー13組が「犬のための建築」をデザイン。
その設計図は、Webサイト上でオープンに公開されており、その設計図を元にDIYで作る事ができるというコンセプトの展示です。
「建築 × 犬 × オープンデータ × 展示 × 書籍」といくつもの要素が折り混ざりながらも、とてもシンプルでかわいらしい伝わり方がなされていたと思います。

「ATELIER MUJI」の「かたがみ展」などもそうだと思いますが、ごっつい感じとかマニアックな印象感を一般には極力与えないオープンデザインプロジェクトって、とてもハイレベルだな、と。


「のらもじ発見プロジェクト」

昔ながらのお店の看板にある、レトロ文字をフォント化し、配布&販売。
その売り上げをお店に還元していく、というのが「のらもじ発見プロジェクト」です。
のらもじへの深い愛情やリスペクトと、超入りやすいWeb上でのコミュニケーションとに、オープンデザインが本質的に持っている「草の根感」とがぴたりとハマった感じ。愛すべきプロジェクト、という感じに満ちた印象でした。

受験サプリ
が、一つ「学び」へのオープンデータ化という点で、今年特筆すべきは「受験サプリ」でないか、と思っています。

受験サプリ


受験サプリは、リクルートマーケティングパートナーズが運営するインターネット予備校。
100大学の過去問が無料でダウンロードできるというWebサービスです。
それぞれに丁寧な回答が付いていたり、センター試験予想問題を受験する事ができたり、スケジュール管理ツールなどが準備されていたり、さらには月額980円で、プロ講師の授業が予備校のように受け放題できる、と高いクオリティーでサービスが提供されています。

「たとえ自分が地方に住んでいたとしても、都市部の受験生と同じクオリティーの教育が、これからは受ける事が出来る」という点。
ここに、このプロジェクトの優れた思想を強く感じます。
「最終アウトプット(=教材)だけが、ただオープンに公開されている」という事ではなく、「学ぶことそのものプロセスが、全ての人に追体験できるよう、フラットに公開されている」という点。
オープンデザインが持っている価値を強く示す、少し大げさかもしれませんが、未来の社会に向けたプロジェクトであるとすら、自分には感じられました。


7. オープンガバメント
オープンデータと、今年最後のニュースである、各省庁が保有するデータを公開する「DATA GO JP」リリースの流れもふまえつつ、オープンガバメントについても触れた方が良い気もしたので、少々。

オープンガバメントの思想や、米における先行した試みについては、「Code for America」創立者、ジェニファー・パルカのこのTED講演が最も分かりやすいと思いますので、まずはこちらの映像を。



情報を公開し、そのオープンデータの活用を通じる事で、より政府と関わっていく。
それによって、政府の透明性がより増し、国民との距離感も少しずつ変わっていく。
結果、デモクラシーそのもののあり方も、もっと開けた、対話的なあり方へと変わっていくのではないか。
オープンガバメントには含まれている思想とはそういった考え方だと、自分は解釈しています。

「DATA GO JP」に関しては、色々と?が多い部分があるのも確かですが、まだリリースされたばかりであるという点と、まずは開かれたデータが政府から提供される態度が表明された、という点を考えれば、むしろ来年のキーワードとして動く事に期待すべきだろうとも思います。

後は、ちっちゃな話ですがこういったデザイナーアプローチからの、ボトムアップ的な政府や省庁への関わり方、いいですよね。
The150Logo.ca
The150Logo.ca
カナダ150周年を記念して、カナダ文化遺産省で作られたロゴ案があまりにもダサすぎる。
(こんな感じです)
The150Logo.ca02
なので、カナダ人デザイナーの名誉をかけ、自分らでむしろロゴを考えようじゃないの、というプロジェクトです。


8. 「ソーシャル離れ」
「Facebook疲れ」「スマホ依存症」。
そこかしこで見られたこれらワードは、最も今年を象徴するキーワードなんじゃないか?と個人的には思っていたりします。

I Forgot My Phone

世界中で多くの話題となった、「iPhoneを忘れた女の子の一日を追ってみた」という体裁のこの映像。
個人的には、今年の問題意識を最も象徴した映像とすら思っています。

そして、このデジタル依存やソーシャル離れの先に、どんな提案をこれから提示していくのか?
という問いに、来年からはもっと注目していく感じになるのだろうな、という気がします。
なんと言いますか、このデジタル依存やソーシャル離れの現象って、分岐点として最も分かりやすい象徴のような気がしたりしますので。

例えばですが、広告キャンペーン的にその回答の萌芽を見るなら、
「知り100 “知ったつもりにならないでリアルに体験した方がいい日本の100″」
siri100
で行われている提案は、広告的な落ち方はもちろんですが、その立脚する目線にとても優れたものを感じましたし。

後は、「スマホ依存症」への認知を逆手に取った、アップルのクリスマスCMなども素晴らしかったですよね。
Apple – Holiday – TV Ad – Misunderstood



9. ちょうど良い、という価値観
これは特に流布しているワードでもなんでもなく、勝手に自分が書いてみただけですが、「ソーシャル離れ」の先にありそうな、一つの流れについてを最後に。

感覚的になのですが、ポートランドからのライフスタイル誌「KINFOLK」の日本版創刊や、「MONOCLE」からの書籍 “The Monocle Guide to Better Living”リリースに見られるような、「もっと、それぞれの人生にとって、心地よく生きるには?」という問い。
この問題意識の提示は、すごく今年にフィットしている印象があったように感じられました。



Kinfolk Manifesto from Andrew Gallo on Vimeo.



The Monocle Guide to Better Living (Extended Version) from Gestalten on Vimeo.

実際、書店だとか、肩の力の抜けた雑貨店などで、違和感なくこれらに関連する本たちが、すぽっと収まっている光景をそこかしこで見るようになりましたし、その周辺に陳列された本やグッズなどのセレクトを見ても、やっぱり「ちょうど良さ」だとか「心地よさ」だとか「節度」のようなものを尊重していこうとする立場のものが多かったように思えます。

この辺を掘り出すと長くなりそうなので、短めにしてみますが、これは「日常のなんとなくいい感じの雰囲気」をムーブメントとして作ろうとする感じとは似て非なるものである、と捉えた方が良いと自分は思っています。
デジタルの環境整備やサービスの提供が豊富になり、選択肢が増えたからこそ、はじめて自分たちそれぞれの価値観に立ち戻り、例えば食べることや、住むこと、モノとの付き合い方などに対して、向き合えるようになってきた。
その向き合い方の一つとして、「ちょうど良さ」とか「心地よさ」のような価値観が提案されてきており、それが特に都市部の層に向け、共感をもって受け入れられるようになってきた。

そういう流れとして、今のところ捉えています。
感覚的には、脱ソーシャルとか、脱デジタルのような、真逆に向かうのではなく、もう少しバランスを取っていこうとする時期にさしかかったのが今年だったのかな、という気がしています。


10. おまけ(今年良かったサイトと本を一つずつ)

今年良かったサイトを振り返ってみると、これは例外が凄すぎてむしろトップになってしまった、という感じなのですが、Pharrell Williamsの「happy」です。

Happy: Pharrell Williams
Pharrell Williams
このループ映像&音楽体験の気持ちよさは、何かに似ている、なんだ?なんだ?と巡らせた時、「ああ、UNIQLOCKだ!」と。

しかしこの、超狂気的な24時間分映像がもたらす中毒性、恐ろしいものがあると思います。
UNIQLOCKにはなかった「Happy感」がさらに追い打ちをかける事で、Web閲覧行為における、あの「ぼーと見続けてしまう快楽性」を煽りまくる、という。
強烈な快楽至上主義サイトでした。


本で言いますと、全く毛色は変わりまして「木のいのち木のこころ」。
宮大工、西岡常一氏が、木と建築と人の育て方についてを語った本です。
この本は、この本について自分が何か言おうとする事すらおこがましいというか、なんらかのカタチでモノづくりに携わる職業人にとっては必読の本でないかと思います。
もし未読の方には、強くおすすめいたします。

「木のいのち木のこころ」

木のいのち木のこころ―天・地・人 (新潮文庫)
西岡 常一 小川 三夫 塩野 米松
新潮社
売り上げランキング: 11,315


他にも、
「さわれる検索」が象徴するような「アナログへの回帰」であったり、
「SELFIE(自分撮り)」であったり、
「Bapa」が象徴する「子供や学生へ向けた、アートとコードの教育」だったり、
「Smithsonian X 3D」のような、3Dデータの無料配布によって、スミソニアン博物館の所有資料が3Dプリンタで立体出力ができる、という「3Dプリンティング拡散目論みのオープンデータ化」であったり、
キーワード的に言えば、
「ウェアラブル」「共創」「データビジュアライゼーション」「Bitコイン」など、キリがなく出てきそうですが、一旦はこのあたりにしておこうと思います。


ということで振り返りも長くなってしまいましたが、今年もありがとうございました。

来年も、どうぞよろしくお願い致します。


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