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「それ」と「でも」との間の跳躍を、強さと呼ぶ “WORLD PRESS PHOTO 2014”

毎年決まって観に行く恒例展示のようなものって、人それぞれあるかと思います。
自分にとって「世界報道写真展」は、その一つ。



「見出す人」と「見出される人/事」、そして「見入る人」。
この3者の関係性が、「現代の世界」という枠組みで、一つへシンプルに結ばれ、直球で投げ込まれる。

報道写真というジャンルを通じて、世界を垣間見る。
世界を垣間見ながら、そこで自分が何を感じたか?を通じて、自分自身をも垣間見る。
そういう機会の展示として捉え、向かう。
という感じで「世界報道写真展」は、どうしても自分の場合、「行く」とか「寄る」とかでなく、文字通り「向かう」という感じになってしまう類いの展示だったりもします。

その「世界報道写真展2014」が、今、恵比寿の東京都写真美術館で開催されています。

ここでは一つ、自分が最も印象に残った作品「HEALING BOBBY」を、紹介しようと思います。

HEALING BOBBY
HEALING BOBBY01
HEALING BOBBY02
HEALING BOBBY03
HEALING BOBBY04
HEALING BOBBY05
Via : world press photo

火傷を追った姿として写っているのは、ボビー(42歳)。
彼は、2007年イラク旅行の際に出会った爆撃テロで、全身の40%近く火傷を負いながら、左手の切断もやむなくされます。
その彼は、回復するまでの間、他の負傷した兵士たちに対して、ジョークを発する事で励まし合っていました。
その行為に注目したセラピストは、彼にコメディアンとして活動する事を助言します。
そして、彼は今、実際にコメディアンとして、お決まりの負傷ネタで生計を立てている、というドキュメンタリーです。


「人の強さとは、一体何か?」
この写真には、その問いへの回答が映しだされています。

日常生活は、ままならない。
外を歩けば、誰もが見て、目をそらす。避けられる。そう思えて仕方がない。
毎朝、毎日、鏡を見ては、死にたい気分になる。
なぜ?どうして自分だけがこんな状態なのか。
こんな状態の自分に、もはやどんな価値があるといえるのか。

それでも、彼はジョークを発する。
それでも、彼はあえてその身をさらし、エンターテイナーたる。

この「それでも」という、「それ」と「でも」の間にある、跳躍。

人の勇気とは、この「それ」と「でも」の間を、跳躍しようとする意思を指し、
人の強さの度合いとは、この「それ」と「でも」の間にある、高さを指すのだろうと思います。

そしてそれが分かった瞬間、もはや「それでも」という、受動的/被害的な立場はそこに既になく、「だからこそ」という、主体的な立場に変わっている光景を目にする事になるでしょう。
その転換の瞬間を、人は感動と呼ぶのだと思います。


もしこのエントリーを見て、少しでも何かが反応したなら、是非展示を直に観に行ってみるのがおすすめです。
もっと大きく、何かが反応すると思います。


世界報道写真展2014


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