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物議と手段ついて “Paniamor – Incomplete Bios”

数ヶ月前の話ではありますが、コスタリカ大統領選で行われた、あるゲリラキャンペーンから。

数の獲得という問題がある以上、政治家のマニュフェストというのは、どこの国であっても目を引きやすいキーワードに焦点が当てられがちな傾向にあると思います。

コスタリカの大統領選における焦点のそれは、雇用問題。
その状況に対し「Paniamor」というNPO団体が、児童保護に対して政治家にもっと目を留めてもらうべく、wikipediaをゲリラ的に使ったキャンペーンを実施しました。



各政治家のwikipediaを編集。
「児童保護の政策」という項目をプロフィールに設け、そこをあえて空欄にしてしまうというものです。

「この政治家のマニュフェストには、児童保護への政策がない」という事実情報。
それを、wikipediaが本来持っている「情報のフラット性」という特徴を活かすことで、より強いメッセージとして増幅させ伝えていく、という意図です。

これにより物議がかもしだされた事で、各政治家のマニュフェストにおける児童保護政策の欠如が各メディアによって明るみにされ、訴えられていく。
空欄という事実により「書かざるをえない状況を作る」ことで、各政治家たちはこぞって項目内に、マニュフェストとして明記するようになった、という意図どおりの結果を収めています。

wikipediaは、もはや公共性をもった情報インフラ。
そのインフラの特性を把握した上で、物議が起きるようなメッセージだったり仕掛けだったりを残し、受け手へと委ねる。
そこには、ストリートアートのような、皮肉やジョーク、軽やかさを含んだセンスと知性を感じます。
また、小さき者が大きな者を動かす、異端が主流を脅かす、ネットが持つ小さな革命性のような可能性すら、見出せる気もします。

物議と言えば、数年前でありながら、ルーマニアの「ROMチョコレート」のパッケージを、いきなりアメリカ国旗のデザインへと変えてしまったキャンペーン。これが最も強烈な印象を残す前例かもしれません。



言ってみれば、パッケージを借りた占領行為という図式化。
自国の国旗パッケージをいきなりアメリカ国旗のデザインに変えられたら、それは怒りますよね。
当然、ブランドは超炎上。
が、それを見越して、国旗を元のルーマニア国旗へ戻すことで、紆余曲折はあれど最終的にはより愛されるブランドとして帰ってくることになった、という訳です。
これを自演でやりきってしまったところに、おいそれとは真似の出来ない、「ROM」というブランドの強さとか余裕とか、ユーモアへの美学とか、さらには知性のようなものを、強烈に感じてしまいます。

物議をかもすとは、焚きつけ、あおり、前例なきものとしてメインストリームに混乱を作り、ゆさぶりをかけ、反転を狙う、小さきものが生きるための、多分唯一の手段。

ユーモアだとか、寛容さとか知性だとかに、物議という概念を置き換えて捉えてみると、何か別のヒントが生まれるような気がします。


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